固定資産の維持費用とも言える固定資本減耗の水準について国際比較してみます。
1. 固定資本減耗とは前回は、より実際的な国民の平均的豊かさを表すとされる1人あたりNDPについて国際比較してみました。
日本は固定資本減耗が多く、1人あたりGDPよりも1人あたりNDPの方が国際順位が低下します。
日本経済の特徴として、固定資本減耗が多いという事が言えそうです。
今回は、固定資本減耗の国際比較により、日本の水準が国際的に見てどの程度の立ち位置なのかを確認してみたいと思います。
まずおさらいですが、固定資本減耗とは次のように定義されています。
固定資本減耗は、建物、構築物、機械設備、知的財産生産物等からなる固定資産について、これを所有する生産者の生産活動の中で、物的劣化、陳腐化、通常の破損・損傷、予見される滅失、通常生じる程度の事故による損害等から生じる減耗分の評価額を指す。
(内閣府 国民経済計算 用語の解説より抜粋)
固定資本減耗とは、私たち企業からすると減価償却費に相当する概念ですが、その対象の範囲や、評価の方法(簿価ではなく時価評価など)などが異なるようです。
図1は日本の国内総生産(GDP)と国内純生産(NDP)の推移です。
国内純生産は国内総生産から固定資本減耗を差し引いた指標です。
NDP = GDP – 固定本減耗
固定資本減耗はバブル崩壊後も徐々に増えています。
1997年の122兆円に対して、2022年には146兆円と20兆円以上増加しています。
GDPに対する固定資本減耗の割合も22%から26%へと増大しています。
日本のこのような状況を頭に入れた上で、国際比較を見てみましょう。
2. 1人あたり固定資本減耗の推移まずは、人口1人あたりの固定資本減耗の推移から見ていきましょう。