「低コストのインデックスファンドを買ってさえいれば、長期運用なら安心、安全、高成績」といえるのか?
ここまで見てきたように、投資信託を設計し、販売戦略を設計し、育てるという流れについて、PayPayアセットは認識不足だったのではないか、というのが深野氏の見立てだ。その背後には、IT企業のマインドと金融業界のルールがまったく異なることが関係しているという。
「仮にPayPayがIT企業のマインド、やり方で金融業界に入ってきたのだとすれば、まずはスピード重視でサービスを始めてから成り行きで対応して、うまくいかなければ事業自体を損切りするというやり方がなじんでいるでしょう。その結果として、過当競争に苦しんだあげく先陣を切って脱出する形になった。素直に解釈すれば、こうなります」
インデックスファンドは指数に連動するオペレーションを行うだけなので、運用の手間がかからないといわれがちだが、そんなに甘いものではないと深野氏は強調する。もはや低コストのチキンレース、つまり我慢比べになっており、降りたい運用会社は他にもあるかもしれない、というのだ。
「結局のところ、低コストのインデックスファンドを買ってさえいれば長期の運用成績は折り紙付きと、安心していたら危ないと言いたいですね。今回、運用会社の規模も重要だと、1つ学ぶことができたのではないでしょうか。つまり人と同じことをやっていれば安全ではないということです。今回のPayPayアセットの廃業で被害を受けた人がいるかもしれませんが、そうでなくても運用を続けていけば暴落には何度も遭遇します。そのつど、何が起こっても自己責任で引き受けていかなければならないのが投資です。ちゃんと自分で勉強して、理解してからやらないとまずいことはお伝えしたいですね」
(文=日野秀規/フリーライター、協力=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表)
提供元・Business Journal
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