PTSD・酸素欠乏症・脳へのダメージへと発展します。

⑦拘束

身体を拘束して自由を奪く行為です。

拘束は長時間にわたる場合が多く、これにより被害者は筋肉が壊死したり神経に損傷を負ったりします。

特定の地域に限定されず、多くの国で報告されています。

⑧不自然な体勢の強制

苦痛を伴う体勢を長時間強要する拷問です。

例えば、うさぎ跳びの体勢(両腕を背中側でまげて手首を組ませ、しゃがんだ姿勢)を長時間強制したり、手足を後ろで縛って体を強制的に反らせたりします。

これにより被害者は筋肉や関節に強い痛みを感じ、体勢によっては呼吸が妨げられることもあります。

⑨刃物による切りつけ

ナイフや針などの鋭利な物を用いて身体を傷つける拷問です。

被害者は被害者は強い痛みを感じ、外傷が明確に残るのも特徴です。感染症に発展する場合もあります。

⑩焼き付け

火・酸・熱湯などを用いて身体を焼いたり、やけどを負わせたりする拷問。

被害者は極度の痛みと恐怖を感じ、傷跡が残ります。感染症に発展することもあります。

中東やアフリカの国々で確認されています。

 

論文に示されている拷問の報告があった地域を地図で示したものが下図です。

拷問の地理的分布(※報告された国の分布は、研究者が調査できた地域に限定されるため完全なものではありません)
拷問の地理的分布(※報告された国の分布は、研究者が調査できた地域に限定されるため完全なものではありません) / Credit:Andrew Milewski et al.,JAMA Netw Open(2023)

この論文の報告は主に警察や軍など公的機関による取り調べを対象としているとされています。

日本が含まれているのが意外に感じますが、これは被害者が長期の不当な拘留や取り調べを受けたという報告が含まれているのだと考えられます。

 

またこれらの主な拷問以外にも、対象者を強制的に裸にして羞恥心を与えたり、性的な拷問(紛争地域で顕著)を行っていた例もあるようです。

では、これらの拷問は被害者にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

拷問が脳に残す「見えない傷跡」を調査する