情報を自白させるため、人々は古くから「拷問」を行ってきました。
とはいえ現代ではジュネーブ条約を始め、国際的に拷問を禁止する取り決めがいくつも存在しており、拷問はなくなったかのように思えます。
しかし現実は、現代でも拷問が使用されることは多々あり、その被害者も数多く報告されています。
ニューヨーク・プレスビテリアン病院(NewYork-Presbyterian Hospital)に所属する研究チームは、そんな現代でも行われている拷問の種類とその分布を明らかにしました。
また、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)の研究チームは、拷問による極度のストレスが脳の神経ネットワークに与える影響を解明しています。
依然として後を絶たない「拷問」は、犠牲者たちの脳に「見えない傷跡」を残しているのです。
研究の詳細は、学術誌である2023年10月付の『JAMA Network Open』、2024年12月付の『Biological Psychiatry: Cognitive Neuroscience and Neuroimaging』にそれぞれ掲載されました。
目次
- 現代でも蔓延る「拷問」
- 拷問が脳に残す「見えない傷跡」を調査する
- 拷問は脳ネットワークの接続性を低下させる
現代でも蔓延る「拷問」
拷問とは、「情報を引き出す」「罰を与える」または「威嚇する」などの目的で、対象者に極度の身体的または精神的苦痛を与える行為を指します。
歴史的には、中世のヨーロッパでの宗教裁判や戦争捕虜への尋問などで用いられてきました。
現代では、拷問は国際的な人権法で厳しく禁じられており、国際連合の「拷問等禁止条約」により規定されています。
それにもかかわらず、世界のいくつかの地域では依然として拷問が行われており、被害者に深刻な身体的・心理的影響を与えています。