では、現代ではどのような種類の拷問が行われているのでしょうか。
ニューヨーク・プレスビテリアン病院(NewYork-Presbyterian Hospital)に所属する研究チームは、2023年10月の研究にて、現代の拷問の手法や、それが行われている地理的分布を明らかにしました。
この研究では、10万人以上を対象にした266件の過去の研究をメタ分析しており、その結果、現代でも105カ国で拷問があったと分かりました。
そして、現代の主な拷問の種類は以下の通りでした。
①殴打
棒や鈍器、拳で対象者を殴打する拷問は、最も一般的で世界中で広く報告(59カ国)されています。
被害者は外傷、骨折、内出血、慢性的な痛みで苦しみます。
②電気ショック
電気ショックを身体に与える拷問であり、中東や南米の28カ国で報告されました。
これはしばしば敏感な部位(性器や指)を対象に行われます。
強い痛みを伴う手法であり、被害者は筋肉のけいれん、神経損傷、長期的なトラウマを抱えることになります。
③飢餓・脱水
食物や水を与えず、身体的・精神的に衰弱させる拷問です。
時間をかけて行われる拷問であり、被害者は栄養失調、脱水症により、死に至ることもあります。
④足の鞭打ち
足の裏を鞭や棒で叩く拷問であり、特定の国や地域(トルコやサウジアラビアなど)でよく報告されています。
被害者は慢性的な痛みに苦しみ、歩行が困難になります。
⑤吊るし
手首や足首を縛ってつるし上げる拷問であり、関節や筋肉に大きな負担を与えます。
被害者は激しい痛みに苦しめられます。
肩の脱臼、筋肉の損傷に至るケースもあります。
⑥窒息
ビニール袋で顔を覆ったり、水に顔をつけさせたりして呼吸を妨げる拷問です。
犠牲者は空気を欲してもがき苦しみ、繰り返される行為に極度の恐怖を感じます。