さらに、射精後不応期の原因として「プロラクチン」の分泌が挙げられることがあります。
射精することでプロラクチンというホルモンが大量に分泌され、興奮物質であるドーパミンや性欲物質であるテストステロンなど、勃起や性欲に必要なホルモンを抑えるというのです。
しかしこの説に対して専門家の間でも意見が分かれており、ポルトガルのポルト大学(University of Porto)の2021年の研究では、プロラクチンは射精後不応期に影響を与えないと結論付けられています。
こうしたことから、射精後不応期の原因は多面的かつ複雑であり、メカニズムの解明にはより多くの研究が必要だと分かります。
ちなみに、射精後不応期が年齢に応じて長くなることは、他の研究でも示唆されています。
例えば、いくつかの研究によると、18歳の男性の射精後不応期は約15分であるのに対し、70代では約20時間でした。
もちろん例外もあります。
アメリカのラトガース大学(Rutgers University)の2015年の研究では、不応期がないと報告した男性が調査されましたが、この被験者は実験室で36分間に6回のオーガズム(完全な射精を伴う)を経験したといいます。
彼は、その間ずっと勃起を維持しており、自身が申告した通り明らかな射精後不応期は見られませんでした。
これは非常に特殊な事例と言えますが、賢者タイムが発生しない男性が存在することも確かなようです。
では、性交後憂鬱についてはどうでしょうか。
オーストラリアのクイーンズランド工科大学(QUT)の2019年の研究では、1208人の男性参加者のうち、40%が生涯で少なくとも1回は性交後憂鬱を経験したことがあると報告されています。
また、参加者の3~4%は頻繁に性交後憂鬱を経験しており、男性の性交後憂鬱は、現在の精神的苦痛、幼少期の性的虐待、およびいくつかの性的機能障害と関連していることが分かりました。