賢者タイムが当てはまるかもしれないもう1つの表現は、性交後憂鬱(post-coital tristesseまたはpost-coital dysphoria)です。
性交後憂鬱とは、性交や自慰行為の後に感じる深い憂鬱や悲しみ、不安のことです。
場合によっては、動揺したり攻撃的な感情になったりします。
男性だけでなく女性にも見られ、性交後5分から2時間続くことがあります。
こうしたことが生じるのは、欲求で隠されていたセックスや快楽に対する否定的な感情や考えが表に出るからだと考えられています。
この2つの言葉の意味を考慮すると、どちらも賢者タイムに当てはまる可能性はあるものの、射精後不応期の方がより適切だと言えるでしょう。
では、このような賢者タイムが生じるメカニズムはどのようなものなのでしょうか。
賢者タイムが起こるメカニズムは?
今のところ、射精後不応期の正確なメカニズムについては完全に解明されていませんが、いくつかの理論は提出されています。
その1つは射精後のオキシトシンの増加です。
オキシトシンは脳の視床下部の神経細胞によって作られるホルモンであり、脳で作用するだけでなく、血液を通して全身を巡ります。
このオキシトシンには心を鎮める作用があり、オキシトシンの増加レベルに応じて射精後不応期が長くなる可能性があります。
また、アメリカのヴァルパライソ大学(Valparaiso University)の2013年の研究では、自律神経系の信号変化の仮説が提唱されました。
射精することで、精嚢などの生殖器系の壁張力が低下。これに伴って自律神経系に信号が送られ、一時的に性的興奮や勃起を抑制するというのです。
この仮説では、男性は加齢と共に精嚢の張力を回復する時間が長くなると主張されています。