上述の『組織の盛衰』でも以下の通りテーマとして取り上げられており普遍的な組織課題であることがうかがい知れます。
『組織にとっての最大の問題は、組織の「良さ」の三条件が相互に矛盾することだ。
組織が「大きさ」を達成すれば、当然その構成員の数は増え、存在する場所も広がる。
その結果、組織全体の情報環境を同一にすることが難しくなり、「固さ」は緩む。それでも敢えて、「固さ」を保つためには、構成員の帰属意識を高め、組織外情報を遮断し、内部の情報を統一する情報環境を作らなければならない。
これには、構成員全体の公平感と受益感を強めることが必要だろう。だが、これは目的達成力を低下させ「強さ」を失わせることになる。』
また、「大きさ」を達成すればするほどトップの目の届かない範囲が大きくなり、自身でメンバーを管理成長させ、感覚的だが精緻な評価によって人事面を運用することが困難となります。
この役割を中間管理職に委ねようとしますが、トップのように上手く役割をこなすことが出来ずに組織成長がストップするという問題も発生します。
これらの障壁を根拠のある組織作りを通じて解決しないことには多店舗展開の成功はつかみ取れないと言えます。
多店舗ビジネス成功のポイントとは?では、このような障壁を乗り越えるための組織作りのポイントはどのようなものがあるのでしょうか?ずばり「帰属意識の確保」と「管理職の再現性のある育て方」の2点に集約されます。
① 帰属意識の確保多店舗展開で大きさが出てきた際に帰属意識を再現性高く醸成するために必要なことは「同一ルール下=同一コミュニティ」という原理原則を意識することです。言い換えると、人はどのような時に相手が同じコミュニティにいると感じるか?についての答えがそれとなります。
つまり、帰属意識を醸成するためにはメンバー全員を「同一ルール下」におくことが必要であり、そのためには専用ルールを作成し、そのルールを徹底することが必要最低限の環境となります。