介護系や飲食系の経営者様のサポートをする際に、多くの企業が「多店舗展開」の必要性を認識されています。
言うまでもありませんが、一つの店舗での売上や利益の上限がそこまで高くない業種において欠かせない事業戦略となります。
一方で、「多店舗展開」を成功させるには乗り越えるべき障壁の数も少なくありません。今回は「多店舗ビジネスの留意点」について考えていきましょう。
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sesame/iStock
売上利益を確保させるための重要戦略であるとしましたが、そもそも多店舗展開にはもう一つ重要な側面を持っています。
それは店舗数に比例して人数規模も大きくなり、その大きさそのものが良い組織の条件の一つを満たしていることです。
そもそも「良い組織」とはどのような組織を指すのでしょうか?『組織の盛衰』(堺屋太一著)の書籍には以下のような記載があります。
『一般に、「良い組織」といわれるのは、大きな組織、固い組織、強い組織の三種類がある。つまり組織の良否を測るのには、「大きさ」「固さ」「強さ」という三つの尺度があるわけだ。
大きさ
従業員数、純資産額、総資産、売上高、利益額などが多い組織。
固さ
結束力、団結力のある組織。帰属意識と情報共通性(同じ情報を皆がいかに信じられるか)から成っている。
強さ
目的達成能力の高い組織。意思決定が速やかでその命令の徹底と実行の確実性がある組織。』
このような記載があり、多店舗展開をスムーズに実現できる組織は「大きさ」の尺度を満たす=「良い組織」の条件を満たすことに繋がるということです。
大きな組織に立ちはだかる障壁とはこのように多店舗展開を目指す企業は必然的に多くなる傾向にあります。では、ただひたすらに店舗数を増やしていけば自ずと組織は大きくなるのでしょうか?
答えは否です。店舗数を増やすだけなら簡単ですが、「大きさ」に比例して問題発生数も増加していき、結果としてどこかでいわゆる「人数の壁」にぶつかってしまう企業が高確率で発生します。