シンガポール最大の「水素発電所」計画が始動、総工費1160億円規模
しかしこの記事には、その水素燃料なるものが、どこからどんなルートで入手できるのか全く書かれていない。その水素を化石燃料から得るのなら、それを直接火力発電に用いるのが断然効率的だし、グリーン水素だと、再エネ電力→水素→火力発電で電力と言うただ愚かしいループになるだけだ。シンガポールのような島で、こんな計画が出されること自体が不思議である。
光触媒による新しい水素製造への期待と課題別の水素製造ルートとしては、水を光触媒により太陽光で分解して水素を得る方法がある。特に最近、光触媒方式で水を分解して水素を得る方式が注目を集めている。いわゆる、人工光合成の第一段階に相当する、水から水素を得るプロセスだ。
従来は効率が低くて実用性がないと見なされていたが、最近は技術開発が進んできている。私はこの方式が注目に値すると思う一方で、エネルギー供給にどの程度寄与できるかに関しては疑問を抱いている。
まずは、太陽光からどの程度の効率で水素が得られるのか、という点がある。なぜなら、水素は上記のように、燃やすか電力変換しないとエネルギーに使えないので、太陽光からエネルギーを得るならば、太陽光パネルで直接電力を得る場合と競合できなければならないからだ。
今の太陽電池は効率15%程度は達成している。燃料電池で水素から発電する効率は約60%程度なので、その分の目減りを考えると、太陽光から水素を15/0.6=25%程度の効率で得なければならない。現在の効率は1%行くかどうかの程度なので、これはかなり壁が高い。