最終的にコットンは現役としての精神科医を引退していますが、その後も彼は独自の理論を過激化させていきました。

晩年には「子供に自慰のような悪い習慣を身につけさせないためには腸の切除手術を行うとよい」とか、歯科医に対して「菌に感染した歯を抜かずに、治そうとするのは大きな誤りだ」と間違った非難をしていたのです。

しかし医療が発展するにつれて、コットンの主張のおかしさが再び注目され始め、1930年に入ってからニュージャージー州当局による再調査が行われます。

このときの調査では、コットンの手術を受けた患者に比べて、手術を受けなかった患者の方が精神疾患の有意な改善が見られていたことがはっきりと認められました。

これでコットンも万事休すかと思いきや、彼はこの再審理の最中の1933年に心臓発作のため、この世を去ります。

ニューヨークタイムズはコットンの功績を讃える記事を掲載し、世間的には彼の名誉が傷つくことはありませんでした。

しかし今日の私たちから見れば、コットンの治療がいかに無謀で狂気じみていたかがわかるはずです。

コットンとその助手たちはその生涯に1万1000本以上の患者の歯を抜き、645回の臓器摘出手術を実施し、これによる死者は数百名に上ると推定されています。

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参考文献

The Horrifying “Cures” Of Dr. Henry Cotton — America’s Biggest Quack
https://allthatsinteresting.com/henry-cotton

Two Men Tried To Cure Schizophrenia by Removing Their Patients’ Intestines
https://www.smithsonianmag.com/smart-news/two-men-tried-cure-schizophrenia-removing-their-patients-intestines-180953875/