調査対象となったのは、XLGamesが開発したArcheAgeの試験運用サービス(クローズドベータテスト)であり、終焉を迎えるまでのプレーヤーの行動が記録されました。
試験運用サービスの終了(あるいみで「サ終」)にともない、プレーヤーたちは自らの分身であるアバターをはじめゲーム内の全てのデータを削除されることになっています。
アバターの削除を自らの死、全てのデータの削除を世界の終焉ととらえるならば、MMORPGの終了は、世界終焉時の人々の行動を理解するのに役立つはずです。
調査に当たっては、ゲーム内でのプレーヤー行動にかんする2億7000万件の記録を分析し、世界の終焉が迫ったときにプレーヤーの行動パターンにどんな変化が現れるかを調べました。
すると上の図のように、世界終末を迎えるプレーヤーたちには「よくみられる行動」と「あまりない行動」が存在することが判明します。
よくみられる行動には「散財系」のものが多く、最後に豪遊を楽しんでいる人々が多くいることがわかります。
一方、古くから世界終焉時に人々がどんな行動を取るかという問題については、いくつかの予想が存在しています。
1つは道徳を放棄した暴動のような行動が全体に広がるというもので、これはフィクションでもよく描かれる終末世界の典型的なイメージでしょう。
しかし、分析によると殺人(PK)など反社会的行動に興味を持つようになる人は少数に留まっていました。
この結果は、世界終焉時に危惧されていた道徳の全面的な崩壊は起こらない可能性が高いことを示しています。
また、別の予想では、世界が終わりを迎えても人々の行動は「なにも変わらない」とする説も存在しています。
この説では「世界終焉が迫っても、人々はいつもどおり仕事に行ったり、朝の日課のジョギングをしたり、来年の収穫に向けて畑に種をまく」とされています。