CTC の場合も、もし高次元空間や境界理論との対応づけを考えることで、時空のループが生じるメカニズムや、それを打ち消す機構がどのように実装されるのか、理論的に検証できる可能性があります。
たとえば、ホログラフィー原理においては「ブラックホール情報パラドックス」などの解決に向けて活発な議論が行われていますが、同様にCTC における自己無矛盾性も高次元時空の視点から検証できるかもしれません。
もし本当に時間旅行が実現するような技術が開発される日が来るかどうかは、まだわかりません。
しかし、その可能性を通じて、私たちは「なぜここに、こうして存在しているのか?」という問いを、別の角度から自問できるのです。
未来の物理学が“時間”と“因果律”をどこまで解き明かし、私たちの世界観をどう塗り替え、私たちの“時間”や“因果”に対する認識を変えていくのか──それは、ある意味で人類最大のロマンであり、同時に理論の深みを示すリアルな課題でもあります。
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元論文
Life on a closed timelike curve
https://doi.org/10.1088/1361-6382/ad98df
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部