しかしコーエンは、選挙資金を違法に使ってその業務記録を改竄したとして連邦法違反を認め、有罪になった。トランプはこれらを否定しているが、起訴状は「大統領立候補中およびそれを進める中で、被告らはトランプ氏に関する否定的な話を特定し、隠蔽に同意した」からトランプも有罪だ、と述べているのである。

また全会一致の原則について、筆者はこう書いた。

一般に陪審評決は「全会一致」が原則とされるが、マーチャン判事はここで、被告の有罪が「単独犯か」「共謀犯か」「その両方か」については全会一致である必要はないことをことさらに強調する。この辺りも12人の陪審員全員が全34訴因を有罪とした要因の一つではなかろうか。

つまり、マーチャンはコーエン証人とトランプの「協調」を示唆しつつ、トランプの有罪が「単独犯か」「共謀犯か」「その両方か」については全会一致である必要はないとしたのである。このことを含めてターリー教授は「証拠と基準について陪審員に早い段階で意見の相違がない限り、指示を再確認する必要性は想像できない」とし、「陪審員への指示を含む検察側と判事の様々な動き」によって、無罪判決は「ほぼ不可能」となったと喝破していた(前掲『Epoch times』)。

上記は何れも犯罪の事実関係というよりも、一審におけるマーチャン判事の手続きや判断に係る問題ではなかろうか。とすれば、これらは二審の最高裁判所控訴部で審査の対象に成り得え、アルビン・ブラッグ検察官の無理な犯罪構図作りとそれに呼応したマーチャン判事の異様な動きが控訴審で暴かれるものと思われる。

自身が民主党への寄付者であり、民主党議員の選挙コンサル会社の経営者を娘に持つマーチャン判事は、公判期間中トランプに箝口令を課して一度ならず罰金を取り、トランプの弁護士の目つきが気に入らないとして説教した人物である。果たして心頭に発しているトランプの怒りは鎮まるだろうか。