実はインポスター症候群になりやすい人がこうした心理的背景を持つに至った原因があることが、過去の研究から示唆されています。
それは例えば、幼少期から自分の成功や能力に対して周囲から妬まれたり、それによってイジメや仲間外れにされたり、あるいは失敗したときに親や先生から叱られたり、友達にからかわれた経験があることです。
また家庭の教育で、個人が目立つよりも周りとの調和を大事にするようしつけられたりした経験も大きく関わっています。
このような一種トラウマに近い経験から「自分は目立ってはいけない」とか「成長すれば、また周囲から妬まれる」といった意識が増長し、何をするにも他人の目を気にするようになって、インポスター症候群を起こしやすい性格特性に繋がっていると考えられるのです。
要するに、インポスター症候群とは、出る杭を自分自身で打つ(=自己評価を不当に低くする)ことで、周囲と足並みを揃えながら目立たないようにし、過去に受けてきた心理的苦痛やストレスが再び生じないようにする心理反応とも言えるでしょう。
しかし皮肉にも、自分を守るための心理反応は返って自己肯定感を低下させ、別の心理的ストレスや不安を引き起こしてしまうのです。
では、インポスター症候群を管理し、上手に付き合っていくにはどうすれば良いのでしょうか?
インポスター症候群を自己管理する方法
インポスター症候群はその傾向がひどくなると、本人に与える心理的苦痛やストレスが大きくなり、メンタルヘルスに大きなダメージを与えることがあります。
実際に過去の研究では、インポスター症候群が強い人ほど、日常的な不安やストレスレベルが増加し、仕事で燃え尽き症候群に陥ったり、生活満足度が低下しやすくなることがわかっています。
そこでインポスター症候群をうまく自己管理していく必要があります。
そのためのファーストステップは「完璧主義を手放すこと」です。