重要なのは、こうした議論自体が量子力学の深淵をさらに掘り下げ、私たちの世界観を揺さぶり、思いもよらないアイデアや実験につながっていく可能性があるということです。
「みんな大好き」 といわれる多世界解釈は、確かに今、議論の矢面に立たされています。
しかし、それは量子力学の真理がさらに一歩先へ進むための健全な衝突でもあります。
未来の量子力学は、ひょっとしたら「もっと魅力的な多世界」かもしれないし、あるいは「ひとつしかない巨大な宇宙」の見方がいっそう明快になるのかもしれません。
どちらにせよ、量子論の旅はこれからも進んでいくでしょう。
全ての画像を見る
元論文
Conservation laws and the foundations of quantum mechanics
https://doi.org/10.1073/pnas.2220810120
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部