〇家計調査の就労者内訳

足元、事業所調査(給与台帳ベース、NFPや平均時給、週当たり労働時間など、CES)と家計調査(聞き取り調査ベース、失業率や労働参加率など、CPS)の就業者数の数字を比較すると、今回はNFPが25.6万人増に対し、家計調査の就業者数は47.8万人増と、3カ月ぶりにそろって増加した。家計調査の就業者数は、2023年11月以来の高水準となる。

チャート:NFPと家計調査の就業者数、3カ月ぶりにそろって増加

jr24dec_hrp (出所:Street Insights)

家計調査の就業者数を雇用形態別でみると、フルタイム、パートタイムが増加、複数の職を持つ者のみが減少。フルタイムは前月比8.7万人増と3カ月ぶりに増加し、年初来で5回目の増加となった。パートタイムは同24.7万人増となり、年初来で7回目の増加に。複数の職を持つ者は同9.9万人減と減少に転じた。前月は858万人と過去2番目の高水準だった。

チャート:フルタイムとパートタイムは増加、複数の職を持つ者は減少

jr24dec_fpm (出所:Street Insights)

チャート:複数の職を持つ者は過去2番目の高水準から減少

jr24dec_mul (出所:Street Insights)

NFPと家計調査の就業者数の動向の、どちらを信用すべきか悩むところだろう。米労働統計局によれば、NFPを含むCES(他に平均時給、週当たり労働時間が含まれる)は、他指標とコロナ禍を経て同様に回答率が低下してきた。直近のデータをみると、CESは2024年3月に43.5%、雇用動態調査(JOLTS、求人件数などを含む)は33.2%と、それぞれ低水準を保った。失業率や労働参加率などを管轄するCPSは対面と電話での聞き取り調査となるなか、2024年4月に69.7%と、他と比較して高い。こうした違いを踏まえれば、CESの結果よりCPSの方が信頼性が高いように見える、しかし、CESの調査対象は12万2,000以上の会社や政府機関である一方で、CPSは6万世帯に過ぎない。従って、通常は雇用の伸びについてはNFPを扱うCESを重視する傾向が強い。