昨季、レンタル先のJ2藤枝MYFCで16得点を上げたFW矢村健や、オーストラリア代表DFジェイソン・カトー・ゲリアら13人もの新戦力を揃えた強化部門は満点に近い仕事をしたが、この戦力を新米監督が使いこなせるかは未知数だ。場合によっては大コケの危険性をはらんでいるが、その際の“保険”として、昨季、高知ユナイテッドをJ3に導いた吉本岳史氏をヘッドコーチに据えたという見方もできる。
セレッソ大阪:アーサー・パパス監督
期待度:★★★★☆
セレッソ大阪に就任したオーストラリア人指揮官のアーサー・パパス監督は、横浜F・マリノスでヘッドコーチ(2019-2020)を務め、2021年、当時J3の鹿児島ユナイテッドで監督に就任したものの、家族の体調不良とコロナのパンデミックによって帰国を余儀なくされた過去を持つ。
その後も母国のニューカッスル・ユナイテッド・ジェッツや、タイを代表するビッグクラブのブリーラム・ユナイテッドの監督を歴任。ブリーラムは現在タイ・リーグ1の首位で、AFCチャンピオンズリーグエリート、タイFAカップ、ASEANクラブチャンピオンシップ(ACC)にも出場しているが、C大阪の熱烈なオファーに応えた形だ。
チームの顔だったMF清武弘嗣をはじめ、FWレオ・セアラ、MFカピシャーバなど15選手を放出した一方、横浜FMからDF畠中槙之輔を完全移籍で獲得、J2のベガルタ仙台からFW中島元彦をレンタルバックさせるなどツボを押さえた補強で、虎視眈々とタイトル奪取を狙う。
パパス監督は、ジェフユナイテッド市原(1997-1998)を指揮したオランダ人指揮官のヤン・フェルシュライエン監督に師事しており、「プロアクティブ(先手を打って能動的に行動すること)であれ」という哲学を持っている。まだ44歳ながら、「16歳からサッカー指導者の勉強を始めた」という知将でもある。