14人もの選手を放出した割には、選手補強で出遅れている印象のFC東京。そもそも、松橋監督が志向するサッカーを司るパサーがいない点がネックとなりかねない。監督が理想とする戦術と在籍している選手とのミスマッチが目立つ。
このままの体制で2025シーズンに突入すれば、アルベル監督時の二の舞いとなることは容易に想像できる。そして、低迷した暁にはまた監督のクビをすげ替えるのだろう。「首都クラブ」としての存在感を示さなければならないFC東京だが、2020年天皇杯優勝以来のタイトル奪取への道は遠いと言わざるを得ない。
川崎フロンターレ:長谷部茂利監督
期待度:★★★★★
2024シーズン大詰めの10月末にアビスパ福岡監督を勇退することを発表してから、水面下で争奪戦が繰り広げられていた長谷部茂利監督。新天地に選んだのは、今やJ屈指の強豪となり、タイトル奪取が義務付けられている川崎フロンターレだった。
現役時代の1997シーズン、当時JFLだった同クラブにヴェルディ川崎からレンタル移籍していたクラブOBなのだが、在籍はわずか半年間。その頃と比べた現在のクラブの立ち位置の違いに、長谷部監督本人が一番驚いているのでがないだろうか。
福岡では堅守を売りにしたチーム作りで、クラブ初のタイトル(2023ルヴァン杯)をもたらした長谷部監督だが、川崎で求められているものは正反対のサッカーだ。川崎は2012シーズン途中から風間八宏監督が築いた攻撃サッカーを鬼木達前監督が引き継ぎ、4度のJ1優勝(2017、2018、2020、2021)、2度の天皇杯制覇(2020、2023)、ルヴァン杯(2019)でも優勝し、黄金期を過ごした。実に8シーズンにも及んだ鬼木政権を受け継ぐタスクは簡単なものではないだろう。
しかし早くも長谷部監督は、川崎の問題点を「失点数の多さ」と指摘し、これを修正するべく3バックの採用も示唆している。また、ヘッドコーチにOBの長橋康弘氏を据えた一方で、元日本代表FW大黒将志氏をコーチとして入閣させるなど、新風を感じさせる。