ロドリゲス監督はクラブ初のスペイン人指揮官となるが、Jに精通しており、日本サッカーにアジャストするには適した人選といえる。問題は選手補強だ。FW細谷真大の引き留めには成功したが、MFマテウス・サヴィオが浦和に移籍し、未来の柏を引っ張る逸材であるFW升掛友護と、DF関根大輝も海外移籍を前提にクラブから離脱した。

16人の選手を放出し、17人が新加入したものの、サヴィオの穴を埋めるような外国人助っ人の獲得発表は未だにない。彼の代役を浦和から獲得したMF小泉佳穂に負わせるのは少々荷が重い印象だ。もちろん舞台裏ではロドリゲス監督からのリクエストはあるはずだが、その要望にフロントが応えることができるのか。このままの体制では今度こそJ2降格が現実のものになってしまうだろう。


松橋力蔵監督 写真:Getty Images

FC東京:松橋力蔵監督

期待度:★★☆☆☆

FC東京でJ参入以来最も長期政権を築いた監督は、原博実監督(2002-2005、2007)まで遡る。2021シーズン途中の長谷川健太監督の辞任以来指揮官の交代を繰り返し、その人選の一貫性の無さも目立つ。2022-2023シーズンに指揮したアルベル・プッチ・オルトネダ監督に続き、今シーズン再びアルビレックス新潟からの松橋力蔵監督を新指揮官に据えた。

新潟では、アルベル監督(2020-2021)が持ち込んだパスサッカーを松橋監督(2022-2024)がブラッシュアップさせ、相手が嫌になるほどボールを繋ぎ倒すスタイルを完成させた。しかし、得たタイトルは2022シーズンのJ2優勝と、昨2024シーズンのルヴァン杯準優勝のみだ。披露するサッカーは魅力的だが、タイトル奪取という目標にフォーカスすれば、FC東京のフロントは松橋監督の力量を少々買い被り過ぎているのではないだろうか。

引退したFWディエゴ・オリヴェイラの穴は、サガン鳥栖から獲得したFWマルセロ・ヒアンで埋めたものの、昨季のチーム得点王でアシスト王でもあったMF荒木遼太郎(レンタル元の鹿島に復帰)の穴は今のところ埋まっているとは言い難い。中盤の顔触れは、MF俵積田晃太やMF遠藤渓太、ブラジル人FWのエヴェルトン・ガウディーノと、突破力が武器のウインガーばかりだ。