東京都の電力消費量は東電全体の約35%なので、東京都民が使用した原子燃料は約3000トン(=8700 × 0.35 =3045)である。

この原子力発電によって、オイルショック後の経済の立ち直りや、成長する産業全体への電力安定供給、安価安定な電力料金が達成されてきた。

4. 東京都民が使用した原子燃料の高レベル廃棄物の処分

上記のように東京都は既に約3000トンの原子燃料を使って安価安定な電力を享受してきた。このことは、使用済みとなった燃料の処理処分についても受益者として責任を持つ必要があるということである。

約3000トンの使用済み燃料の再処理から発生する高レベル廃棄物は、ガラス固化体という長期的に安定な梱包・処理形態に加工して地中深く埋設される。ガラス固化体は、使用済み燃料800トン分が 1000本に加工されるので、3000トン分では3750本となる。これが埋設の対象となる数量である。

38年間の東京都の原子力利用の結果が3750本のガラス固化体で済む、ということである。

高レベル廃棄物の処分については、現在、北海道の寿都町、神恵内村、および、佐賀県の玄海町が処分地候補の可能性を調べる「文献調査」を受け入れてくれて、実施されている。

その結論がどのようになるかは別として、高レベル廃棄物の処分の重要性を認識し、国民・市町村民の議論を活発化・具体化するために行動を起こしてくれていること自身が、大きな尊敬に値する。

東京都民は、原子力発電による安価安定な電力の恩恵を受けた(今後も受ける)者として、「文献調査」を受け入れてくれている自治体に敬意を表し、お礼を述べ、サポートする必要があると言えよう。

東京都知事は、高レベル廃棄物処分地「文献調査」を受け入れてくれている自治体の首長や、北海道知事、佐賀県知事にお礼とお願いに出向くべきである。そういう行動こそが自治体の尽力に感謝を示す道であろう。