日本人は一般に「優しい国民性の持ち主」として海外では有名です。
テレビやYouTubeなどで、知らない人が落とした財布をどれだけ拾って手渡ししてくれるかという企画で、日本人がほぼ百発百中で財布を拾って渡してくれることに、外国人が驚いているという場面を見たことがあるかもしれません。
いくつかの国々では、地面に落ちた物はもはや拾った人の物として、そのまま持っていかれることも多いという。
このように「日本人=優しい」というイメージは広く普遍的に思えますが、最近、これに反する意外な結果が報告されました。
一橋大学と名古屋大学の研究で、日本人は困っている人への思いやりや同情心が薄いことが示されたのです。
そのせいか、日本では困っている人自身も周囲に助けを求めづらくなっているようです。
研究の詳細は2024年10月14日付で学術誌『Emotion』に掲載されています。
目次
- 日本人が困っていても「助けて」と言えない理由
- 日本人は困っている人への思いやりが薄かった?
日本人が困っていても「助けて」と言えない理由
周りの人たちから励ましの言葉をもらったり、アドバイスを受けることは、精神的あるいは身体的に苦しんでいるときにとても助けになります。
しかし困っていたり、苦しんでいる人自身から「助けて」と周りの人に言いやすいかどうかは、国や地域ごとの文化によって異なります。
例えば、日本を含む東アジア人は欧米人よりも自ら社会的支援を求めることに消極的であることが過去の研究から示されてきました。
これは東アジアに特有の「集団主義文化」に理由があると考えられています。
特に私たち日本人は「みんながしているから自分もする」「みんながしないことは自分もしない」というように、集団内での調和や協調性を強く重視する特性があります。
そのため、「自分が苦しいからといって助けを求めると、周りの人に負担がかかり、そのせいで集団の調和が崩れてしまうのではないか」との懸念を抱きやすいのです。