このようにして選挙に関する開示情報のネット公開が中心になれば、各候補者は、そのような基本情報に関連づけてSNS等による広報戦略を立案し、実行していくことになるが、候補者間の公平が図れるよう、具体的なルールを定める必要がある。
そして、ルールに従ったSNS運用を行っていくことについて、「業務として選挙に関わること」に公的な位置付けを与え、候補者間の公平を図りつつ活用していくことが考えられる。
「公職選挙SNS運用管理者」制度を導入し、SNSを含む選挙戦略の企画立案・運用の方法や公選法の規定、ルール等について数日間の研修を義務づけ、それらを十分に理解していることが確認できた者にその資格を付与する。
そして、候補者には、立候補の届出に当たって、同管理者の選任を義務づける。この「管理者」には、候補者側が主体的に行うSNS運用全体を把握し、それがルールに則ったものであるかをチェックするとともに、候補者の周辺でのルール違反行為を認知した場合の当局への通報を義務づける。
そのように、法令遵守のための公的役割を担うだけに、車上運動員より高額の報酬の支払を認め、その一部を、公費負担の対象とする。その費用は、ポスター掲示板をデジタルサイネージに変更し、印刷代の公費負担を廃止することによる節減によって賄うことが可能である。
法改正のためにも真相解明と適正な刑事処分が不可欠このようなネット時代に即した公選法の抜本改正を検討していくためにも、まずは、今回の選挙をめぐって、何が起きていたのか、それらが現行の公選法に照らして違反と認定し得るのかについて、捜査による真相解明と刑事処分が適正に行われることが必要である。
とりわけ、今回の兵庫県知事選挙においては、各候補者の動きについてネット上にも様々な情報が存在し、それによって、従来ではあり得ないほど選挙運動の実態が具体的に明らかになっている。そして、そのような選挙運動のやり方の評価についてもネット上での議論が行われている。捜査機関は、そういった情報を幅広く活用し、慎重かつ冷静に捜査を遂げ、その結果に基づく適正な刑事処分が行われることが望まれる。