世界的な人口減少は急速な出生率低下を背景に進行しており、「結婚からの逃走」や「家族からの逃走」といった価値観の変化がこの傾向を加速させています。これにより、社会や経済、地政学的な構造が大きく変化し、高齢化社会への適応が急務となっています。特に労働市場の柔軟性を高め、生産性を向上させることが重要です。また、移民政策や社会的連携による対応が求められています。この転換期において、創意工夫と柔軟性をもって持続可能な未来を構築することが人類にとっての課題となっています。
近着のForeign Affairs Report (No.12)で、「出生率が急激に低下し、ますます多くの社会が、いつまで続くかわからない、広範な人口減少時代へ向かっている。……(中略)その先にあるのは、高齢化し、より小さくなった社会で構成される世界」(エバースタット、2024:6)という指摘が見られた。
この内容は文字通り「少子化する高齢社会」(金子、2006)であるが、元来、国際関係論を専門としたこの雑誌でさえも、2024年末の巻頭論文にこのような「世界的な人口減少」が取り上げられたことは、「世界的人口減少の時代」を痛感させるに十分であった注1)。
「結婚からの逃走」と「家族からの逃走」最後まで精読したところ、新しく使われた「結婚からの逃走」と「家族からの逃走」が有益な概念だと評価できる。
われわれの学界にはほぼ85年前のフロムの名著『自由からの逃走』(Escape from Freedom 1941)があるので、念のために翻訳ではなく、実際にForeign Affairs Report 2024 No.12で確認すると、「結婚からの逃走」の言語は‘flight from marriage’であり、「家族からの逃走」は‘flight from family’であった。