かつてみのもんたさんは昼の番組で視聴者の主婦の方々への影響力が抜群で、生鮮品などを取り上げ「〇〇がカラダにいい」というと夕方、生鮮品売り場からその商品が瞬間蒸発するという現象が頻発しました。あるいはジャパネットたかたは高田明氏のあの独特のかん高い声が売りで一世を風靡したと言えるでしょう。みのさんも高田さんも商品の表現力を上手にすることで消費者に全く違うパーセプションを提供することができたのです。
北米で豆腐が健康によい食品として普及させたのはクリントン夫人がラジオで「豆腐が健康にいいのよー。私、いつも食べているわ」と何気なくしゃべったことから火がついたのです。あるいはアメリカでは結構有名なヨシダソースの創業者、吉田潤喜氏の講演会に行った時、氏は売れないソースを売るためにどうしたらよいかと考えた挙句、コストコの試供品コーナーで吉田氏自身が立ち、おもろいことをしゃべりながら試食させて売り上げが急増したと述べていました。こうみると、もしも高田明さんが北米でジャパネットをやったらどうなっていただろうと思うことすらあるのです。
私は日本の商品は日本人が開発し、日本人が利用するという狭いマーケットでいまだに自己完結していると思うのです。鎖国とまでは言わないけれど、知りたきゃ自分で調べな的なところはあります。でも海外の人は全く知らないのです。日本人は言わなくても理解するし、勝手にSNSで盛り上がってくれます。しかし、こちらではこれでもか、と発信し続けることでしか市場を大きくすることができないのです。
私どもは書籍のイベント出店を年5ー6回やっていますが、出店仲間には毎週、そして2か所掛け持ちという強者も結構います。ある方はSUVに商品を積めるだけ積んで1000キロ離れたカルガリーまで行商に行く方や、飛行機に5時間乗ってトロントにまで出店しに行く人たちも何人か知っています。彼らは自社で扱う商品をいかに知ってもらうか、SNSという手段だけではなく、出店を通じて手に取ってもらい、試食し、リピーターになってもらうという努力をしているのです。