ではなぜ日本の商品が開花しにくいのでしょうか?海外に33年もいると消費活動で日本びいきばかりというわけにもいきません。目についたもの、気になるものは買いますが、ふと思うのは「日本の商品はどこに行った」であります。

酒屋に行けば店舗の6割はワインでビールが2割。それ以外のスピリッツが15%ぐらいで隅っこの方に日本と韓国と中国の酒が申し訳なさそうにまとめて置いてあります。日本酒が売れているというけれどワインのポピュラリティには足元にも及ばないのです。スーパーでインスタントラーメンといえば韓国と中国製が圧倒的主流です。たまに聞いたことがない日本の即席めんが大バーゲンで売っているので買って食べれば「あぁ、失敗した!」。これでは日本の即席めんに客は戻らないのです。

ラーメン店といえば日本なのに北米で即席めんはダメというのはどういうことか、客へのアピールが足りないか競争力が十分ではないことはあるでしょう。「ラーメン食べたきゃラーメン屋がある日本」と海外は違うのです。マーケットの研究とはそういうことではないかと考えています。

マーケティングでは各国の特性を知ったうえで各国の人が興味を持つメッセージを発信し続けることが商品やサービスの周知として最も重要だと考えています。

この表現力は海外向けに限ったことではありません。私は本業との関係もあり興味深く見てきたのですが、YouTubeで「有隣堂しか知らない世界」という番組があります。有隣堂は関東地区を中心に約40店舗ある老舗の書店でかつては私も神田神保町の店ではお世話になりました。その有隣堂が配信する同YouTube番組がめちゃくちゃ面白い。辛口コメントもあり、へぇと思わせる深い内容もありで登録者数は32万人。書店発信のチャンネルとしては異例でしかもどんどん登録者が増えています。今では書籍販売において「有隣堂効果」とも言えるべく同チャンネルで取り上げられた本が売れるというケースも出ているのです。