その謎を解こうと、この10年の検証を試みたのが本書である。 (以下略)
「膨張GAFAとの闘い」は「おわりに」でも日本にGAFAが生まれない理由などを解説している。これについては拙稿「官民癒着のガラパゴス体質が招いたデジタル敗戦」でも紹介したが、以下に再掲する。
GAFAが生まれないのではなく、GAFAになろうとする企業を潰してきた日本日本の産業政策の失敗「日本でGAFAが生まれないんじゃない。日本はGAFAになろうとする企業をポンポン潰してきただけですよ」
いつもの柔和な口調でこう話してくれたのは、 データセンターやクラウドサービスなどを展開する東証1部上場企業「さくらインターネット」の社長、田中邦裕(43歳)だ。
「違法行為が罰せられるべきは当然のこと」と断りつつも、田中はため息をつく。伝統的な企業と新興企業では日本社会は後者により厳しい。「米国では大きくなってから叩かれるが、日本では大きくなる前に叩かれて潰されてしまう」。 (中略) 例としてあげるのが、堀江らが有価証券取引法違反容疑で逮捕され、その後実刑が確定したライブドア事件である。06年1月16日、ライブドア本社などが東京地検特捜部の捜索を受けると、株式市場は大きく下落した。いわゆるライブドアショックである。 (中略) 最高裁まで争った堀江の有罪は11年に懲役2年6ヶ月で確定した。主な罪状は53億円の粉飾決算だった。同時期に約180億円の水増し が発覚した旧日興コーディアルグループが上場 廃止を免れ、 5億円の課徴金納付命令と、グループの社長と会長の引責辞任で終わっているのと比べ、バランスを欠くとの指摘も聞かれる。
「膨張GAFAとの闘い」は続ける。
日本の産業政策も改めて検証されるべきだろう。経済の新陳代謝を後押しし イノベーションの芽を育てるための政索的な対応はなされてきたのか。むしろ、既存産業の保護に傾注するあまり、新産業の創出を怠ってきたのではないかー