第7次エネルギー基本計画の素案は、再エネと原子力の併用を明確にし、脱炭素目標を掲げたものの、評価は賛否両論に分かれています。反原発派からは「福島の教訓を無視」と批判される一方、支持派はエネルギー安定供給や競争力強化を理由に歓迎。計画にはリスクケースの想定や複数シナリオの提示が含まれますが、技術コストや実現可能性の精査が課題とされています。国際的な気候目標やコスト負担への配慮も重要な論点として挙げられます。
本年12月17日に経産省は第7次エネルギー基本計画の素案を提示した。27日には温室効果ガス排出量を2035年までに60%、2040年までに73%(いずれも19年比)削減するとの地球温暖化基本計画が閣議決定された。
これらの案については評価が大きく分かれている。「原発と再エネ活用を競争力の土台に(日経)」、「エネルギー計画、脱炭素に原発は必要だ(読売)」、「新たなエネ基本計画、原発積極活用を歓迎する(産経)」として原発活用方針を打ち出した原案を歓迎する見方がある一方、反原発メディアは「エネルギー計画、福島の教訓を忘れたのか(朝日)」、「エネルギー計画の素案 福島の教訓なぜ生かさぬ(毎日)」、「エネ基本計画、『原発依存』は続かない(東京)」として「原発依存度の可能な限りの低減」と批判のオンパレードである。
エネルギー基本計画における脱炭素への取り組みについても、「脱炭素の失敗、高コスト化で日本の競争力を損なう危うい選択―エネルギー効率改善と自然エネルギー最大化の道をめざせ(自然エネルギー財団)」のように再エネ、省エネの野心レベルの不十分さを批判する声を一方の極とすれば、「気候変動問題はもう終わりだ」、「石破政権のエネルギー政策は『赤点』。再エネ推進で10年150兆円のコスト増〝賦課金〟維持で官僚栄えて国民滅ぶ(いずれもキャノングローバル研杉山研究主幹)」のように脱炭素目標の引き上げや再エネ推進を強く批判する声が他方の極にある。