もうひとつの秘密は小麦粉に含まれるたんぱく質の一種グルテニンとグリアジンです。
グルテニンとグリアジンはグルテンになる元の物質です。水を加えて捏ねると網目構造になり、弾力を持つようになります。グルテンはパンを膨らませたり、もっちりさせたりする物質でもあります。サクサク天ぷらとは真逆ですね。
天ぷらの衣のメイン素材、小麦粉は水を加えて混ぜることでグルテンが形成されます。これが衣に必要以上の粘り気を出し、サクサク感を損ねてしまうのです。
しかし、衣に小麦粉は不可欠。タネにしっかり衣をつけるため、多少の粘り気は欲しいですよね。では、どうすればいいのでしょうか。
ひとつは、衣に含まれるグルテンそのものの量を減らすこと。つまり、小麦粉の量を減らし、グルテンフリーの「粉」に置き換えることです。
グルテンフリーの「粉」には、米粉、雑穀粉、でんぷんなどがあるため、衣に使う小麦粉の一部をこれらに置き換えます。
市販の天ぷら粉の原材料を見ると、一番多いものが小麦粉、次がでんぷん、もしくはホワイトソルガム(白たかきび)となっており、小麦粉の一部がグルテンフリーの食材に置き換えられていることがわかります。
もうひとつのグルテン対策、それは、グルテンそのものが作られにくくすることです。
グルテンが作られにくくするために加えるといいのが「酸」。酢やレモン汁を、衣の味が変わらない程度に加えることでグルテンの生成を抑え、粘り気を出しにくくするのです。
しかし、この「酸」は衣の味に影響しやすいため、市販の天ぷら粉に酸が加えられているものは見られません。消費者から「酸味がある」とクレームがくるリスクを避けているのかもしれません。