同時に光の電場によって電子の一部が加速・減速され、波動関数に微妙な位相ずれが生じます。
これらの相互作用によって、光の螺旋パワーが電子に伝達されることになります。
そして最後に、光の螺旋パワーを受け取った電子の物質波がどんな状態かを観察しました。
具体的には、スクリーンや検出器に当ててできるパターン(干渉模様)を見たり、電子がどのくらい“ねじれ”を持っているかを測定したりしました。
結果、スクリーン上に映し出された電子の干渉パターンから、電子の物質波が飛んでいく途中で「くるくるりん」とねじれたようなコイル(螺旋)状になっている様子が明らかになりました。
また分析によりこの現象が、渦巻き状の光がもつ“螺旋パワー”によって、電子の波が部分的に加速されたり遅れたりすることで起こっていたことがわかりました。
イメージとしては、まっすぐ並んでいた電子の“波”が、光からもらった回転の力を受けてじわじわとねじれていくような感じと言えるでしょう。
さらに照射する光のスクリューを操作すると、電子のコイルの形状も大きく変わることが明らかになりました。
たとえばレーザーパルスに角運動量がゼロの状態であれば、生成される電子は上の図の左側のように「カイラリティなし」の棒のような状態として扱えることがわかりました。
一方、照射する光の角運動量を1に設定すると、電子の電荷と質量の波動関数は「左巻きコイル」のキラリティを示し、角運動量量子数が-2の場合は「右巻きの二重螺旋」になることが確認されました。