しかも、アルゼンチンは経済規模に比較して輸出ボリュームが極端に少ない。その理由は規制が多すぎるからである。
輸出が少ないから外貨の外国への流出を防ぐために色々な規制を設けた。また輸出するのに税金まで払わされるのである。そして輸入する場合が支払いの為の外貨を輸入業者が手に入れるのに管轄機関に賄賂を渡さないと容易に外貨が手に入らないという不都合が生じている。更に、輸出が少ない理由に、インフレが高いので輸出向けの商品を国内市場に回させて供給過剰を起こさせて市場価格を下げようという手段も政府が取っていた時もある。
高騰インフレ下では毎日のように価格が値上がりしたこの影響を脆に受けて来たのが市民である。インフレの影響で毎日のように価格が代わるのである。スーパーの商品棚に記載されている価格と、レジで支払う際の価格に差が生じるということも良くあった。商品が値上がりしたからである。
要するに、価格の変化が余りにも頻繁なので、スーパーマーケットのように商品数が多い小売業者では毎日商品棚にある価格を書き直す時間がないということなのである。
価格の値上がりが激しいので、消費者の間では一番良い投資は、今日買えるものは今日買っておくということだ。そうでないと、明日には同じものが値上がりしているかもしれないからである。
キルチネール派の16年間の社会主義政権がミレイ氏の荒療治の必要性を求めた特に価格の値上がりが激しくなったのはこの20年余りであるという。それはキルチネール派による社会主義的な規制の多い政治になってからである。
キルチネール派というのは2003年から昨年までの20年間である。ネストル・キルチネール大統領から始まって、そのあと彼の夫人クリスチーナフェルナデス・キルチネール、そしてアルベルト・フェルナンデス前大統領と続く。
途中、2015年から4年間は中道右派のマウリシオ・マクリ大統領になり、それまでの左派政権を変えようとした。しかし、彼の政治は勇断さに欠け、またキルチネール派の政権に戻った。キルチネール派による政権中の累積インフレ率は1200%であった。