ところが、孤独感の高い参加者を見ると、「現実の友人」と「架空のキャラ」を考えたときのmPFCパターンが非常に似ており、両者を明確に区別する境界線がほぼ存在しなかったのです。
これについてワグナー氏は「孤独な人々は、現実生活に欠けている社会的な繋がりを架空の人物に頼っている可能性がある」と指摘しました。
日常で孤独感の強い人たちは、現実の生活で得られない人とのつながりを、架空のキャラクターとのつながりを通じて埋め合わせようとしている可能性があるようです。
確かにアニメやドラマを見た際、気に入ったキャラクターと自分が対話する場面を想像することはあるでしょう。
また、話す友達がいないから「エア友達」を作って会話するという話題も耳にすることがあります。
話し相手がいない場合に、自分の近況や気持ちを頭の中の架空の人物に向けて話すというのは、割と誰もが経験する行動です。
こうした行動は孤立や孤独感を抱える人ほど頻繁に行うと予想できるため、これが彼らの脳内で架空のキャラクターと現実の人々との境界を曖昧にしている可能性があるでしょう。
同じ現象は「好きな有名人」に対しても起こる?
これと同じ傾向は架空のキャラクターだけでなく、実在するが面識のない有名人やインフルエンサーに対しても当てはまる可能性があります。
個人的に会ったことのない人に親しみや友情を感じる心理状況を「パラソーシャル関係(Parasocial interaction)」と呼びます。
これは異常心理ではなく、誰にでも見られる健全な心の働きです。
例えば、普段からよく見ているライブ配信者やユーチューバーに強い親近感を覚えることはないでしょうか。
また決まって見るテレビ番組のMCの女性が、親戚のおばさんのように親しく感じられることはないでしょうか。