「政策活動費」「旧文通費」も、政治家個人の収支報告書によって全面公開・透明化を

今回の「裏金問題」を受けての政治資金規正法改正のもう一つのポイントが、派閥側から裏金が渡された際に、収支報告書への記載が不要な理由ともされた「政策活動費」の問題である。自民党から党幹部に渡されてきた巨額の「政策活動費」は、不透明な政治資金のやり取りの温床になってきたと指摘されている。

政策活動費は、当初は、政治資金規正法21条の2第2項によって禁止から除外されている「政党から政治家個人への寄附」と認識されていたが、その後、岸田首相の国会答弁等で「寄附ではなく支出である」とされ、令和臨調の【信頼される政治のインフラとしての政治資金制度の構築】と題する解説などでは、「政党が役職者に渡切りで支出している裁量経費」などと説明されている。

これを受け、前記の立憲民主党の【政治資金規正法改正案骨子】には、

「政治団体の経費の支出は、当該政治団体の役職員・構成員に対する渡切りの方法によっては、することができないものとすること」

が盛り込まれている。しかし、「渡切りの方法」というのは法律の文言として不明確である上、そもそも、そのような支出の具体的な方法は、政治資金の処理の運用上の問題であり、法律で規定することになじまないのではないかと思われる。

この点についても、国会議員個人に政治資金収支報告書の作成提出を義務づけることで解決できる。これまで「政策活動費」として政党から議員個人にわたっていた資金についても、「寄附」あっても「渡切り」として支出を受けた経費であっても、その国会議員の政治資金の収支に当然に含まれるので、収入として政治家個人の収支報告書に記載され、使途も記載されることなる。これにより、政党から政治家個人に渡る政策活動費は全面的に公開・透明化される。

さらに、「調査研究広報滞在費(旧文通費)」についても、これまでは政治資金収支報告書には記載されてこなかった。立憲民主党の【政治資金規正法改正案骨子】では、

「毎年一回、調査研究広報滞在費の収支報告書を、その議院の議長に提出しなければならない」 「各議院の議長が収支報告書を公開しなければならない」

との提案がなされているが、この「旧文通費」も、政治家個人に関する政治資金の収入であるから、当然、政治資金収支報告書の記載の対象となるのであり、その使途が公開されることになる。

立憲民主党は、今後本格化する国会での議論の当面の主戦場となる「裏金問題」の再発防止策について、【政治資金規正法改正案骨子】で掲げている「連座制」について早急に見直しを行い、政治家個人に政治資金収支報告書の作成提出を義務づけることも含めて再検討すべきである。

自民党の裏金問題を批判することで、にわかに国民の支持を拡大しつつある立憲民主党だが、政治資金規正法改正への対応で、その真価が問われていることは間違いない。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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