「自民党派閥政治資金パーティー裏金問題」表面化後、最初の国政選挙となった4月28日の3つの衆議院補欠選挙は、自民党全敗(2つは、公認・推薦もできず不戦敗)、立憲民主党全勝、日本維新の会全敗(いずれもダブルスコアの惨敗)という結果となり、連休明けからの今後の国会の最大の焦点は、政治資金規正法改正めぐる議論となる。
立憲民主党は、「補選全勝」の余勢を駆って、法改正をめぐる国会論議を主導したいところであろう。
私は、立憲民主党の「国対ヒアリング」に、昨年12月18日、26日、今年1月20日と3回出席し、「政治資金規正法の『大穴』問題」(政治家には政治献金を受け入れる複数の「財布」があるので、政治家側が裏金を受領した場合に、その帰属が特定できず処罰が困難であるという問題)について説明し、今回の「裏金問題」を受けての政治資金規正法改正についても提案を行った。
4月23日に公表された立憲民主党の【政治資金規正法改正案骨子】(「本気の政治改革」実現に向けた法制上の措置 骨子(全体像))では、これまで「政治とカネ」問題を生む原因及び背景となってきた政治資金規正法の根本問題に関して、企業団体献金の禁止、政治資金パーティーの全面禁止、政策活動費による不透明な寄附・支出の是正、収支報告書のデジタル化など、抜本的な是正策が概ね網羅されており、全体としては評価できる内容と言える。
しかし、自民党は、「抜本改正」は今後の検討課題とし、派閥政治資金パーティーをめぐる問題の「再発防止策」を当面の国会審議の対象にしようとしており、会計責任者だけではなく政治家本人に責任を負わせる「連座制の導入」などの再発防止策が、当面の国会での議論の主戦場になると考えられる。
自民党案の「議員本人の確認書」提出に意味があるのか今回の政治資金パーティーをめぐる問題で、政治資金規正法違反による捜査の対象とされたのは、政治資金パーティーを主催した派閥側の問題と、「裏金」を受領した議員の側の問題だった。このうち、国民の怒りが集中しているのは、「裏金受領議員」がほとんど処罰されず、所得税の課税・納税すら行われていないことだ。
そこで、当面の国会での「再発防止策」の議論は、「裏金議員」の大半が処罰を免れている現状について、処罰が可能となるような法改正を行うことが主眼になると考えられる。
その「再発防止策」として、自民党は、議員本人に収支報告書の「確認書」の作成を義務づけたうえで、会計責任者が虚偽の記載などで処罰された場合、内容を確かめずに作成していれば公民権を停止する、という措置を「連座制」と称して提案している。
しかし、そもそも、政治資金規正法に違反している場合であっても、収支報告書の「外形」は整っているのであり、それを会計責任者から説明させて「確認」しただけでは、何もわからない。「内容を確かめずに作成」した場合に公民権停止と言っても、どの程度に確かめたらよいのかが不明確であれば、実際に適用される可能性はほとんどないことになる。