従来の自民党中心の党派制を重視した各省庁と国会議員とそこに群がる業界との関係性は、これも時代は変われど、未だ脈々と引き継がれている伝統と言ってもいい。日本は中国以上の官僚支配型の政治体制であるが、それ自体は自民党が作り出した仕組みと言ってもいい。好意的に解釈すれば、旧55年体制も、今の与野党間の新たな55年体制も、この自民党と各省庁の官僚によって作られた仕組みを打破するため、今日まで努力してきたと言える。
ただ、今の立憲民主党(旧民主党)は、バブル崩壊と共に徐々に崩れていったこれまでの仕組みを、名前と顔を変えているに過ぎないし、むしろそれを望んでいるだけのような気がする。
新55年体制と国民民主党の違い旧民主党の時代、一度政権を握った成功体験を金科玉条とするあまり、政権を担うことの苦労を知った今の立憲民主党(旧民主党)は、自民党批判をすることで生き残る術を考案した。そして、自民党は国会での質疑で野党に好き勝手にやらせることで、自民党の盤石な体制を維持してきた。
安倍晋三政権を長期維持させた最大の功労者は立憲民主党であるとも言える。旧民主党から現代まで通じる立憲民主党が犯した最大のミスは、議席と国会質疑を生贄にして、野党筆頭の立場に固執したことだ。言い換えれば、安倍長期政権を実現させたのが今の立憲民主党であると言ってもいいだろう。今の立憲民主党は野田代表以下、全員がそのことを理解していない。
そこに風穴をあけたのが「対決より解決」と言い続けてきた玉木代表率いる国民民主党なのだ。そのことが明確に国民の目に晒され、支持を高めたのが「103万の壁」問題だ。つまり、分かっていながら誰も切り崩せなかった頑強な壁に切り込んで衆院選を戦った戦略だ。実はこれによって目が醒まされたのが国民だと言ってもいい。合理性があり、将来世代へ本当の意味でツケを回さない為の政策として、大学生や子育て世代に至るまで支持を集めた原因と言ってもいい。