財務省の強力な権限により、各省庁の運営はコントロールされていると言ってもいい。いつの世も、どんな業界でも、財布を握っている人が最も強力な権限を有しているのは当たり前だ。大蔵省の時代、各省庁の担当局長が予算の陳情に訪れても、大蔵官僚は課長がその相手をしてきた。それくらい、大蔵省の権力は強大で、常に各省庁を従えてきたと言ってもいい。
そして、この国を形作ってきた自民党は、財務省(旧大蔵省)の時代から、常に二人三脚で歩んできた。これが、今に続いていて、今回自民党税調の宮沢洋一氏が自公国の三党協議で主導権を握っている所以だ。宮沢氏は「税は理屈の世界だ」と豪語する主因は、彼が財務省出身であるが故に出た言葉と言ってもいい。
宮沢洋一氏が自民党税調でありながら、財務大臣かのような発言をするのは、彼の頭が財務官僚の呪縛の中にあると言ってもいいかもしれない。
財政は均衡すべしという論理とは、財務官僚は税金を1円でも多く集めた人が出世するという論理のままの思考となっている。そして、折に触れて高橋洋一嘉悦大学教授が指摘するように、財務官僚は特別会計や税の差配を手土産に天下り先を決めているし、それを出世の階段と考えている。これを陰謀論めいたものだと批判する人もいるが、滑稽だと笑い飛ばしてもいられないだろう。
税で食べている人もいれば、規制の中で守られている業界や団体の人もいるし、税を取られたくないと考えている人もいるだろう。その為、財務省にパイプを作ろうと考えるのは必然であり、その目的故に財務官僚の天下りを喜んで受け入れる業界はいくらでもある。