AZEC議連は、東南アジア諸国が抱えるエネルギー課題を克服するために連携・協力すると謳っている。東南アジアには豊富な化石燃料が賦存しており、安定的に手頃な価格の燃料が手に入る。こうした事情を配慮せずに、脱炭素だからという理由で態々再エネを導入し、グリッドなどの社会インフラを整備しても、電気代を高騰させるだけになってしまい、経済成長などを難しくする。

また、当該アジア諸国のみならず、EUとは再エネやカーボンプライシングの分野で協力、米国とはエネルギー技術や投資における協力関係を強化すると謳っている。さらに中国については、AZECの参加国ではないものの、当該地域のエネルギー供給の安定化に向けた、限定的な連携を模索するという考えのようだ。さらに、パリ協定の枠組みを補完する形で、国連や国際エネルギー機関などとの連携を進め、資金支援や技術移転を円滑に行うためのプラットフォームを構築するなどと謳っている。

先月、中東のアゼルバイジャンで開催されたCOP29では、トランプ次期政権の動きを慮ってか議論が進まなかったと報じられた。トランプ氏は気候変動を詐欺だと非難、パリ協定からも即刻離脱しようとしている。次期政権では、気候変動対応に消極的なクリス・ライト氏をエネルギー長官に、リー・ゼルディン氏を環境保護局長官にそれぞれ指名、バイデン政権が強化した環境規制が緩和される見通しだ。

また、共和党多数議会と協力し、気候変動対応への大規模な財政支援を行うインフレ抑制法(IRA)が修正され、EVの購入や再エネ発電・蓄電池の導入などに対する補助が縮小されるとも予測されている。 前述の「米国とはエネルギー技術や投資における協力関係を強化する」ことなど、できるのだろうか?

こういう政治環境の中でAZEC議連の活動が開始されるという。アジア諸国の多様性(経済発展段階やエネルギー政策の違い)への対応ができるのか、国内に山積した社会問題が未解決のままアジア諸国の資金提供をするのか、技術供与はどこまで許されるのか、再エネ導入に伴う高コストやインフラ未整備の克服ができるのかなど、我が国の実力が問われる。

日本の技術力について