その結果、全体としては標準ポリシーが最も受け入れられていました。
また研究チームの予想通り、体重が軽い人と重い人では回答の傾向が大きく異なりました。
例えば、体重が160ポンド(72.6kg)未満の人は、その71.7%が「しきい値ポリシー」か「体重別ポリシー」を受け入れましたが、体重が160ポンド以上の人の受け入れ率は49.8%でした。
一方で、今回の研究では、回答者の年齢によっても差が生じました。
18~35歳の回答者では、66歳以上の回答者に比べて、体重ベースの運賃設定の受け入れ率が20%高かったのです。
SNSからファット・アクセプタンス運動を頻繁に目にしている若者たちの方が、体重ベースの運賃を受け入れているというのは、興味深いことです。
もしかしたら若者たちは、メディアで話題になっている極端な見方よりも、健康や環境に対する意識の方が強いのかもしれません。
いずれにせよ、シュッカート氏は、若い旅行者がこのような施策を受け入れていることを「心強い傾向」だと述べており、「彼らの前向きな見方が、よりオープンな議論に繋がる」と続けています。
今回の研究は、今後、世界で「体重別運賃」が採用されていく可能性をいくらか示しつつ、最近過激化しつつある「外見に対する社会運動」の現状に一石を投じるものとなりました。
過度な肥満は健康を害しますが、果たしてこの健康問題を体重別運賃の施策と結び付けるべきでしょうか。
また、そのような施策は偏見を助長するものでしょうか。それとも、「個々に応じた料金」という意味で公平な施策でしょうか。
揺れ動く社会で、今後も議論は続きそうです。
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参考文献
Is Weight-Based Pricing the Key to Sustainable Air Travel?
https://www.unh.edu/unhtoday/2024/12/weight-based-pricing-key-sustainable-air-travel