いずれにせよ、寄生虫の感染によって見た目や性格が変化するという報告は、非常に多岐にわたり存在しています。

人間においては寄生虫の感染が統合失調症に影響するという有意な調査報告があり、その他の生物でも終宿主へ移行するために、寄生虫が寄生したカタツムリをわざと鳥に食べられるように操るという事例もよく知られています。

トキソプラズマも、終宿主のネコへ移行しやすくするためにネズミが感染した場合、ネコへの恐怖心が薄れるという報告もされています。

寄生虫が人間の見た目や行動を変化させることは十分あり得ることなのです。

そう考えると恐ろしい話に聞こえますが、研究者らは「この不可解な寄生生物は、必ずしも私たちの敵ではないのではないか」と考えているようです。

なぜならトキソプラズマは大きな健康被害を必ずしも伴うものではなく、さらに宿主の魅力をあげてくれる作用があるとなると、両者の間には「ウィンウィンの関係」が築かれているのかもしれないからです。

研究者は、もしこの結果が事実なら、ヒトとトキソプラズマとの間には良い共生関係が成立するかもしれないと述べています。

全ての画像を見る

参考文献

Mind-Altering Parasite May Make Infected People More Attractive, Study Suggests
https://www.sciencealert.com/mind-altering-parasite-may-make-infected-people-more-attractive-study-suggests

元論文

Are Toxoplasma-infected subjects more attractive, symmetrical, or healthier than non-infected ones? Evidence from subjective and objective measurements
https://peerj.com/articles/13122/