一方で、この運動の中で地域や世代間の違いも浮き彫りになりました。

都市部では放足が比較的速やかに進行したのに対し、農村部では纏足が美徳とされる風習が根強く残り、結婚に必要とされる場合もあったのです。

また、母親たちが娘に纏足をさせる背景には、伝統だけでなく社会的な圧力があり、その結果、家族間に軋轢が生じることもあったといいます。

しかし、放足運動がもたらしたのは苦しみだけではありませんでした。

教育の普及という恩恵も同時に生まれたのです。

これまで学校に通えなかった多くの女性が教育を受けられるようになり、家の外の世界に触れることで、新たな価値観を得る機会を得ました。

この変化により、家族や小さな共同体の価値観に縛られていた人々が、より広い視野を持つことが可能となったのです。

 

纏足の廃止は、一つの伝統が終焉を迎えた象徴的な出来事です。

しかし、その過程における苦痛や葛藤を見つめ直すとき、私たちはこの変革が単なる解放ではなく、社会の価値観そのものを揺さぶる試みであったことに気付きます。

それは、山間の風がもたらした痛みと希望の物語です。

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参考文献

纏足の意義
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nichidaichubun/2024/21/2024_7/_article/-char/ja/

ライター

華盛頓: 華盛頓(はなもりとみ)です。大学では経済史や経済地理学、政治経済学などについて学んできました。本サイトでは歴史系を中心に執筆していきます。趣味は旅行全般で、神社仏閣から景勝地、博物館などを中心に観光するのが好きです。

編集者

ナゾロジー 編集部