研究者たちは最後に「私たちが時間の流れを感じるのは、物理世界に何らかの「量子もつれ」が織り込まれているからかもしれません。

もし、宇宙のどこにも量子もつれが存在しなかったとしたら──一部の理論では、宇宙の誕生当初はそうだった可能性が示唆されていますが──私たちには何も動いていない「完全に静止した世界」が見えていたはずです」と述べました。

今回の研究により、これまでの考え方に挑戦する新たな時間に対する考えが示されました。

研究結果は、時間がただの進行する概念として私たちに直感的に感じられる一方で、その本質は「量子もつれ」の中に潜んでいる可能性が示唆されています。

量子力学では、物質が互いに独立しているのではなく、相互に絡み合っていることがしばしばあり、これは時間という現象にも深く関わっているかもしれません。

そして「時間は量子もつれの副産物」──この一見大胆な考え方は、私たちの世界観を根本から揺さぶります。

宇宙全体が静止した状態であるとしても、その中の一部分を「時計」として取り出し、その中の量子もつれを利用することで、私たちは「今」という瞬間を感じ、過去と未来を区別することができるのです。

たとえるなら、止まったままの写真の一コマ同士を重ね合わせることで、あたかも画像が動き出したかのような錯覚を起こしているわけです。

もし宇宙に量子もつれが存在しなければ、私たちは動きのない凍結した世界しか認識できなかったかもしれません。

新たな観点は、物理学と哲学の狭間で、私たちが「時間とは何か」を改めて考え直す大きなきっかけとなるでしょう。

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元論文

Magnetic clock for a harmonic oscillator
https://doi.org/10.1103/PhysRevA.109.052212?_gl=1*18uxv70*_gcl_au*MTQ1MjgyNDczMS4xNzMyNjY0MTEx*_ga*NDc0MDg5NTkwLjE3MjAzOTI3NTM.*_ga_ZS5V2B2DR1*MTczNDc2MzAwMS40OS4wLjE3MzQ3NjMwMDEuNjAuMC4xMzczODYwMjk2