沖縄科学技術大学院大学(OIST)に所属するサント・チャン氏も35Pの1人であり、過去に35Pの仲間たちとアニメーションの作成や展示を行ったこともあるようです。

画像
「さくらみこ」氏のファンであり、研究者でもあるサント・チャン氏 / Credit:San To Chan(OIST)_絵文字と物理学 画像の「くっきりさ」を数値化する手法を開発(2024)

彼は研究以外では、絵師(絵描き)としても活動しており、ホロライブを題材にしたインディーズゲームの開発にも携わっています。

そして、ゲームの開発者がチャン氏にいくつかの絵文字を依頼したことがきっかけで、今回の研究が始まりました。

35P兼、絵師兼、研究者であるチャン氏が、絵文字の作成をきっかけに始めた研究とは、いったいどのような内容なのでしょうか。

それは、「デジタル画像の鮮明さを数値で定義する」というものです。

画像を作成する時、そして見る時、「鮮明さ」は非常に重要です。

モザイクが掛かったようにぼんやりとした画像ではなく、「画像全体がくっきりと見える」方が人々の評価は高まります。

画像
鮮明な画像とぼやけた画像 / Credit:San To Chan(OIST)_絵文字と物理学 画像の「くっきりさ」を数値化する手法を開発(2024)

例えば、上の画像のどちらを自分のアイコンに用いたいか考えると、「鮮明さ」の重要性が理解できますね。

しかし、芸術作品に対する「鮮明さ」や「構造的な完成度」などの評価項目は、私たちの主観に頼りがちです。

では、これら曖昧な評価項目を、客観的なデータとして数値で表すことができるでしょうか。

チャン氏ら研究チームは、新たな方法を開発し、画像の「くっきりさ」の定量化に成功しました。

「元の画像」と「ぼかし画像」の情報量を比較し、鮮明さを定量化する手法

チャン氏ら研究チームは、画像の鮮明さを評価する手法を開発する上で、次のように述べています。