- 「一人だけカッコいいだけじゃカッコよくない美学」は震災体験から?
ってなんかシティハンターから結構遠い話にまでなってしまいましたが、それぐらい「突き抜けた救い」を感じる作品だったのでめっちゃオススメです。
ちなみに、僕は鈴木亮平さんのことあまり知らなかったんですが、僕と同じ時期に若い頃阪神大震災を経験しているらしくて、なんかこの「自分ひとりカッコいいだけじゃ終わらせられない」感じはその震災体験が効いてるのかなあ、って勝手に思ってしまいました。
っていうか震災時彼は小6だったらしく僕は高1だったんで、「え?4歳しか違わないの?」っていうのは衝撃が大きすぎますが(笑)
ただ僕もなんか時々インタビューとかで話してますが、若い頃の震災体験があることで、「単純に世の中そうなってることの内側の範囲」だけでは終わらせられない「タガ」を精神にはめられたような感じがしてるんですよね。
鈴木亮平さんも、別に普通にイケメン俳優としてもてはやされて終わりでいいのに、変態仮面とか今回の作品とかを人生かけてやってる「そうしなければならない」エネルギーにはすごい共感するところがありました。
それは「個人だけ成功しても満たされない」というタガだというか、率先して冴羽獠が下ネタを言いまくることで、「イチ抜けた」的に「単にカッコいい男」になるんじゃなくて、新宿界隈に生きるあらゆる「あんまり正しくない人々」を「そのまま肯定」できる映画になっているという構造を生み出す源泉になってるのではないでしょうか。
それをしかも、「ポリコレ理論的な攻撃」を受けてもアカウンタビリティが果たせる形で実現してしまったのは本当マジですごいとしか言いようがないです。
めっちゃ良い作品だったので、ぜひ見てみてくださいね。
Watch City Hunter | Netflix Official Site
ちなみにこういう、「単に高みから民衆を断罪しまくる」ようなものでない、そういう「ほんとうのリベラル」の精神こそが、人類社会が真っ二つになっていく時代の新しい共有軸になるはずだ、というのは私が常々言ってきたことなわけですね。
そういう発想を「メタ正義感覚」と私は呼んでおり、クライアントの中小企業で10年で150万円平均給与を引き上げられた話から、社会問題まで横断してその手法について考察した以下の本なんかをぜひお読みいただければと思います。
『日本人のための議論と対話の教科書』
■
長い記事をここまで読んでいただいてありがとうございました。
ここからは、ちょっと話変わるんですが「ジャンプ漫画」の映画化の話つながりで、映画「ハイキュー」がいつの間にかスラムダンク映画に迫りつつあるという話をします。
僕は疑いなく「スラムダンク」世代なんですが、10年前ぐらいに高校の部活の同窓会で、同期の女性が
「”部活”というものの醍醐味が詰まってて、真剣に全国目指してるのに理不尽なことが全然なくて、お互い助け合ってて、すごい新しい世代を感じる。」
って熱弁してて、「へえ、そういう世界があるのか」と思ってたんですが、いつの間にか「ハイキュー」の映画がこのまま順調の伸び続けていけばスラムダンク映画に近い成績になるかも?みたいな話を聞いて、「マジで?」と思ったので今月見てきたんですよね。(漫画も全部読みました)
なんか、スラムダンクとハイキューって、種目が違うし絵柄も時代の変化を感じるんですが、すごい共通項のある漫画だと思うんですよね。
でも、スラムダンクにあった「今から思うとなんで殴り合ってるのかわからんヤンキーたち」の描写は(多少ありそうだがほとんどなくなって)いて、でもその分社会の中の”色んな生き方”の解像度が高く描かれているからこそ成立している新しいストーリーってのがあるなと思ったんですよね。
そのあたりの、「スラムダンクにあった過剰な暴力性」がなぜハイキューでは消えているのか?そこにどういう「配慮」があったからこうなってるのか?
という話を考察したいと思っています。
ちなみに、ハイキューの作者さんもこの漫画連載立ち上げ時にまさに東日本大震災を経験して、その影響が色濃く出ている作品だという話もあるらしく、なんか「個人だけ格好よくてもダメ」っていう今回記事で書いた話に共通するものがあるのかもですね。
■
つづきはnoteにて(倉本圭造のひとりごとマガジン)。
編集部より:この記事は経営コンサルタント・経済思想家の倉本圭造氏のnote 2024年4月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は倉本圭造氏のnoteをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?