西日本の各自治体がJリーグを観光資源とみなし、積極的に予算を投じスタジアム整備を後押しした上で観戦を目的とした観光客を誘致し地域活性化を図る一方、首都圏で同じ試みをしても“圧力団体”と化した市民オンブズマンが反対の声を上げ、その声の大きさに自治体側も尻ごみしてしまう。西日本の自治体のように「観光振興」という理由付けができない側面もあるだろう。
これらの要因が重なり、西日本で新しいサッカースタジアムが次々と誕生する一方、東日本では国体のために建設されたスタジアムを“使わせられている”現状から脱せられずに現在に至っている。
これらを克服し、新スタジアム建設の機運を高めるには、現在使用しているスタジアムの老朽化を待つしかない。あの「東京ドーム」ですらその耐用年数は約30年といわれ、とっくにその年数を過ぎているなか大規模改修で凌いでいる。築地市場跡地に新球場建設のプランが持ち上がってはいるが、都知事が「食のテーマパークを作る」という私案を掲げ、新球場建設計画は宙ぶらりんのまま頓挫してしまった。東京におけるスタジアム建設の難しさを証明してはいまいか。
クラブの価値や用地の確保、行政の支援、地域の活性化といった多面的な要素が絡み合う新スタジアム建設。東日本、特に首都圏でなかなか進まない要因もまた複雑なのだ。