横井専務理事は「昔なら行政がポンとお金を出して完成すればOKでしたが、今の時代ではみんなが納得しない。時間をかけてやっていくことで、協力者や理解者は増えていくと思っています」と、有力企業や自治体の協力を取り付ける試みを地道に続けることが重要という考えを示す一方で、「カターレにポテンシャルがあると感じているし、J2に昇格するとなれば、そのタイミングで一気にということもある。周囲ではスタジアム建設の話もよく聞かれるようになった」と、手応えを感じている。
今シーズン富山は、ルヴァン杯3回戦のJ1ヴィッセル神戸戦で8,223人、同プレーオフ第2戦のJ1北海道コンサドーレ札幌戦では7,701人を集め、J2昇格プレーオフ決勝の松本山雅戦では1万1,847人を記録した。
富山が現在本拠地としている富山県総合運動公園陸上競技場は約25,000人のキャパシティーを誇るが、富山空港からは近いものの、JR富山駅からバスで約30分と、アクセスの悪さが課題となっていた。新スタジアムが本格運用となれば、アウェイサポーターにとっても、観光を兼ねた来訪が増えるだろう。
西日本にサッカー専用の新スタジアム
しかし、西日本にばかりサッカー専用の新スタジアムが次々と開場するのはなぜなのか。2016年、J1ガンバ大阪が本拠地とする「パナソニックスタジアム吹田」。2017年、J3ギラヴァンツ北九州の本拠地「ミクニワールドスタジアム北九州」。2020年、J1京都サンガの本拠地「サンガスタジアム by KYOCERA」。2021年、J1セレッソ大阪の本拠地として長居球技場を大幅改装した上で「ヨドコウ桜スタジアム」。
東日本は、2026年アジア競技大会に向けて全面改装中の名古屋グランパスの本拠地「パロマ瑞穂スタジアム」を除けば、新スタジアムが計画の段階でストップしてしまっている。首都圏をホームとする強豪J1クラブで、サッカー専用スタジアムを本拠地としているのは浦和レッズと柏レイソルくらいだ。横浜F・マリノスも川崎フロンターレもFC東京および東京ヴェルディも町田ゼルビアも、陸上競技場兼用スタジアムを本拠地としている。