1社独占の可能性

 米国の五輪事業はどうなっているのか。NBCの親会社コムキャストが1社で独占しているが、14~20年までの放映権料として44億ドルを支払っていた。1ドル150円とすると、日本のJCの18~24年の1100億円の6倍である。それでも東京五輪では総計7000時間あまりの番組を放送や配信で送り届け、広告枠販売が過去最大となり、黒字となったようだ。中継・録画・ハイライト・オンデマンドなどを放送・有料チャンネル・ストリーミング・VODを駆使してマネタイズした結果だろう。

 パリ大会ではAIも導入されている。AIを使って自動でコメントやテロップをつけたりと、低コストで大量のコンテンツを放送・配信した。こうすればマイナーなスポーツにも一定数のファンがいるので視聴者数は拡大する。従来は放送されなかった試合には、有料でも見たいという高いニーズも存在する。つまり大量かつ多様な試合を、必要とする多様な視聴者に、あらゆるインフラを駆使して利便性高く送り届ければ、ビジネス的に成功する可能性は高まる。

 米国の人口が日本の3倍ゆえの成功というわけではないだろう。放映権料が日本の6倍なので、国民一人あたり換算で2倍のマネタイズに成功している計算だ。つまり日本でも、どこか1社が独占して視聴者を増やし、1視聴あたりの単価を上げれば黒字になる可能性がある。