ジャパンコンソーシアムは崩壊へ
TBS、日本テレビ、テレビ朝日はそこそこだった。視聴率の平均は6~7%、普段より2%強上がっていた。ところが中継できたのはTBSと日本テレビが2日だけで、GRPは大きくない。くじ運がよく4日放送があったテレ朝は放送全体に好影響が及んだが、それでもNHKには遠く及ばなかった。
つまり民放全体は赤字で、かつ局によってはくじ引きで悲惨な状況となった。今後テレビ広告費は減少を続けるので、赤字額は拡大の一途となる。
では、NHKは順風満帆だろうか。五輪の放映権料は全体の7割をNHKが負担している。NHKと民放連で構成するジャパンコンソーシアム(JC)での取り決めだ。結果として人気の試合をとり、ほぼ毎日NHKは中継を放送し、視聴率も好調となる。普段は若年層の視聴率が低い同局にとって、五輪期間は接触率が急伸する絶好の機会となる。いわば五輪は毎回、NHKの一人勝ち状態なのである。
ただしNHKにも課題がある。18~24年の五輪4大会でNHKが負担する770億円(=1100億円の7割)の放送権料は、1年換算だと100億円強の負担だ。年間予算が7000億円ほどあった時代にはさして過大ではないが、26~32年の4大会でJC全体の支払額は 975億円であり、そのうちNHKが負担するのは680億円強であり、年間100億円弱。2030年代には受信料収入は5000億円程度まで減少する可能性があるので、1.5%程度だった予算比率は2%に上昇する。
国際的にスポーツ放映権料は上昇の一途だ。円安がさらに進めば制作費も膨らむ。こうして予算比率が上がり続けると、娯楽番組に莫大な費用を投入し続けることに対し、受信料を支払う国民からの反発が大きくなるだろう。つまり、JCはいずれ崩壊せざるを得ないのである。