平成26年10月から12月までの間の匿名でのFAX送信については以下認定されています。

 ア 平成26年10月31日

情報提供様式の一部と仮計算表の一部を重ね合わせた書面(乙2)

イ 平成26年11月24日

仮計算表の脇に、「御社のコンプライアンスの知識、社会貢献に対する意識が著しく欠如している人物が、現在も違法な証券勧誘を行っており、御社と弊社で取引のあるお客様が、間違った投資情報から弊社との取引を控えるという許容できない状況になっております。証券業協会には、その旨、お伝えさせていただいて」との文言が記載されている書面(乙3)

ウ 平成26年11月25日

仮計算表の脇に、「以前も警告の意味を含めFAXさせていただきましたが、御社のコンプライアンスの知識、社会貢献に対する意識が著しく欠如している人物が、現在も違法な証券勧誘を行っており、御社と弊社で取引のあるお客様が、間違った投資情報から弊社との取引を控えるという許容できない状況になっております。証券業協会には、その旨、お伝えさせていただいて」との文言が記載されている書面(乙4)

エ 平成26年11月27日

仮計算表の脇に、「このような資料を使い違法勧誘行為を行っている人物をしっかり指導いだだき、お客様にその旨説明させてください」との文言が記載され、「いちよし証券」の名称が鏡文字で記されている書面(乙5)

オ 平成26年12月11日

情報提供様式に「支店長であるE氏の違法勧誘。金融商品取引法違反」を記入し通報者の属性を示す欄には「82歳」、「O区P」等が記載した書面、これにE支店長の名刺及び仮計算表を添付(乙6)

バラバラに送信されていますが、これらをE支店長に対する記述であると一体的に解しても、そもそも「通報」とは言えない、と判断されたわけです。

さらに、「不正の目的」の観点からも、原告がE支店長が仮計算表を顧客に渡しているのを現認しているわけではないことや、仮計算表の作成を止めた後も原告が仮計算表のFAX送信をしていることなどから、E支店長への嫌がらせ目的が推認できるとして「不正の目的でなく」とは言い難い、と判断し、「以上から、原告による公益通報は存在しない」と締めています。