地球上に置き換えた場合は、これは生物が利用している炭素やエネルギー量を指すことになります。

家計簿で無駄遣いを発見できるように、細胞の定量化によって、生態系の中で効率的に炭素を使っている部分やそうでない部分を特定することも可能になるかもしれません。

どんな研究にも言えることですが、そこに含まれる総数を推定することは、現実の状況をイメージするための基盤になります。

例えば地球上に存在する砂粒の数を推定してみましょう。

これに関する報告ではGPSデータなどを元に地球に砂の存在する場所の面積、そこに存在する砂の体積などが計算されています。

砂粒のサイズは一般的に細かい砂だと0.06mm、荒い砂だと2mmとされているので、こうしたデータを下に地球に存在する砂の数を推定した報告では \(7.5×10^{21}\) 個(約75垓個)だとされています。

また宇宙にある星の数を推定した研究が2003年の国際天文学会で発表されています。

この研究では遠くの銀河が含む星の数を銀河の明るさから推定しており、地球から3億光年以内の銀河で実際に観測して調べています。そして、その結果を全天に適応して宇宙の星の数を推定しました。

それによると、宇宙の星の数は \(7×10^{22}\) 個(約700垓個)と推定されています。ただ、宇宙はこの研究の推定より遥かに広大なため、もっと膨大な数の星が存在すると考えられます。

では、地球上に存在する生物の細胞数を把握するにはどうしたら良いのでしょうか?

地球上の細胞の数は、砂粒の1兆倍以上

クロックフォード氏ら研究チームは、生態学における「生産性」に着目しました。

生産性とは、生態系における「ある期間あたりの生物生産の量」のことです。

その中でも、二酸化炭素や水といった無機物から新しく有機物が合成されることを「一次生産(基礎生産)」と言います。

例えば、二酸化炭素から糖類などを合成する光合成がこれに該当します。