その原因を探るために研究者らが缶詰を調べた結果、強い放射線に耐えられる細菌が見つかりました。
これがコナン細菌です。
コナン細菌は当初、その形状や性質から「マイクロコッカス属(Micrococcus)」に分類されていました。
しかし細胞壁のつくりが違うことや極めて強い放射線耐性を持つことなどから、マイクロコッカス属とは異なる新種の細菌であると判明します。
そこで研究者らは「放射線に耐える奇妙な果実」を意味する「デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)」と命名したのです。
なので、コナン細菌の正式な学名はデイノコッカス・ラディオデュランスとなります。
さらに調査を進めると、コナン細菌は世界でも最強の放射線耐性の持ち主であることが明らかになりました。
コナン細菌は「世界最強の放射線耐性」の持ち主だった
生命体をはじめとした物体が受ける被曝量の単位は「グレイ(Gy)」で示されます。
これまでの研究によりますと、私たち人間は全身に3〜5グレイの放射線を浴びると、60日以内に半数が死亡します。
さらに7〜10グレイに及ぶと、ほぼ全員が死に至るとされています。
高濃度の放射線は細胞中の水分子を破壊し、活性酸素を作り出すことで、DNAやタンパク質の損傷を引き起こすからです。
DNAやタンパク質の損傷が修復不能なレベルになると、細胞は正常な働きを保てなくなり、細胞死(アポトーシス)が誘導されます。
その過程で細胞のがん化や組織障害、臓器不全を起こし、最終的に死に至ります。
これは人間だけでなく、あらゆる生物にとっても同じことです。
ところがコナン細菌は違いました。
コナン細菌がどれだけの放射線量に耐えられるかを検証した実験では、なんと驚異の2万5000グレイに耐えられることが示されたのです。